INNO3D TuneITとは
TuneITをご存知だろうか。
INNO3Dが無料で配布しているソフトウェアで、グラフィックスカードの温度や使用率などをモニタリングできるほか、冷却ファンの調整やオーバークロックまで簡単にこなせる便利なソフトウェアだ。
TuneITを使わなくともグラフィックスカードは問題なく機能してくれるが、ソフトウェアを活用することで、グラフィックスカードを最大限に使いこなすことができる。
ただし注意点もあるので、リスクをよく理解したうえで挑戦してほしい。
01公式サイトからダウンロード!
TuneITはINNO3D公式サイトの以下URLより無料でダウンロード可能だ。
https://www.inno3d.com/software#tunelt-oc
ダウンロードしたファイルをダブルクリックするとインストーラーが立ち上がるので、セットアップ時に使用する言語を英語、中国語、日本語の3つから選択してイントールする。
インストールされた『TuneIT』アイコンをダブルクリックして起動しよう。
TuneITが起動すると、クロックや使用率などが表示される。何をどう見るべきなのか、どこを操作すれば良いのかなど、ひとつずつ順に見ていこう。
対応製品
TuneITに対応しているINNO3D製グラフィックスカードは以下の通り。(2024年6月時点)
- INNO3D GeForce RTX 40 series
- INNO3D GeForce RTX 30 series
- INNO3D GeForce RTX 20 series
- INNO3D GeForce RTX 16 series
- INNO3D GeForce GTX 10 series
- INNO3D GeForce GTX 900 series
- INNO3D GeForce GTX 700 Series
- INNO3D GeForce GTX 600 Series
02モニタリング機能
まずはソフトウェアの右側から見ていこう。ここにはGPU温度や負荷(使用率)、クロックなどが常時表示される。
アイドル状態(PCで何も動かしていない状態)であれば、GPU使用率はほとんど上がらず、GPU温度も室温よりいくらか高くなるくらいだろう。
ゲームを起動したり、GPUに負荷のかかる用途では、GPU使用率は最大100%まで上昇。
ゲームによっては使用率があまり上がらず、60%前後を推移することもあれば、負荷の重いゲームだと100%に張り付くこともある。
GPU温度はグラフィックスカードの搭載ファン数、室温やケースのエアフローに大きく影響されるが、70度や80度を超えることもある。
もしGPU温度が常に90度を超えている場合、ケースのエアフローがうまく機能していない可能性が高い。早急に見直した方がいいだろう。
03オーバークロック機能
続いてはオーバークロックについて。
GPUとメモリー、どちらもバーを左右に動かすことで簡単にクロックを調整することができるが、くれぐれも扱いに気を付けてほしい。
クロックを上げすぎると、ブルースクリーン(青色のエラー画面)が発生して強制シャットダウンされるリスクがあるほか、最悪の場合、グラフィックスカードが動かなくなる可能性もある。
オーバークロックはメーカー保証の対象外となり、何が起きても完全に自己責任となることを覚えておいてほしい。自作PCの扱いに慣れていない初心者の方はやめておこう。
04電力や温度による制限
ここはGPUの消費電力や温度による制限を設定可能。
たとえばGeForce RTX 40シリーズの場合、電力制限を80%程度にまで下げてもパフォーマンスがほぼ下がらないという特徴がある。
毎日何時間もPCゲームに没頭している方は、GPUの電力制限を適度に設定することで、電気代の負担を少し下がられる可能性があるということだ。
最適な設定値はお使いのグラフィックスカードを使って検証していくしかない。
電力制限はオーバークロックとちがってGPUパワーをセーブするだけで、リスクはとても少ない。
興味がある方は挑戦してみてほしい。
ターゲット温度はGPU温度の上限値を設定できる機能。
高負荷時にGPU温度が上がりすぎている場合、GPUパワーを抑えるように設定できる。
ケースのエアフローを見直してもGPU温度がうまく下がらない場合、ターゲット温度を少し下げてみてもいいだろう。
電力制限と温度による制限、どちらを活用するかは用途や使用されているケースなどに合わせて適宜判断してほしい。
05ファンの回転量調整
ここはグラフィックスカードに搭載されているファンの回転量を調整できる。
デフォルト設定(出荷状態)でも問題はないが、たとえば高負荷時にファンの音が少し気になる方は、回転量を少し落としてみてもいいだろう。
ただし回転量を落とせばGPU温度は上がりやすくなり、反対に回転量を上げすぎると温度が下がりやすくなるが、騒音は大きくなる。
温度に合わせて回転量を調整することも可能で、温度の低い低負荷時は回転量をなるべく抑えて、高負荷で温度が上がってきたらファンをフル回転させる、といった設定も可能だ。 先ほどの電力制限や温度による制限とうまく組み合わせて、快適に運用できるベストな設定を見つけてほしい。
グラフィックスカードがセミファンレスタイプの場合、負荷が低いときはファンが停止して0RPMになる。初期不良や故障ではないのでご安心を。
06プロファイル保存
オーバークロックをはじめ、電力制限やファンの回転量など、お気に入りの設定を最大4つまで保存可能だ。
たとえば事務仕事や動画視聴など、負荷の低い用途では静音重視のプロファイルを使用し、ヘッドセットを付けてPCゲームに没頭したいときは、静音よりGPU温度を下げることを重視したプロファイルを使用する、といった使い分けもできる。
どのように使い分けるか、ぜひ工夫してみてほしい。
07起動時の設定
画面右上の歯車マークをクリックすると、TuneITの基本設定を変更できる。
Windows起動時にオーバークロックの設定を適用するかどうかや、前回の設定内容を自動的に反映するかどうかなども細かく指定できる。
BIOSのアップデートも実施できるが、とくに不具合がなければ無理に実施する必要はない。
グラフィックスカードを購入したタイミングによっては、既に最新版のBIOSが導入されている可能性もある。
08まとめ
オーバークロックは扱いに注意が必要だが、GPUのモニタリングや電力制限、ファンの回転量の調整など、TuneITはかゆいところに手が届く便利なソフトウェアだ。
INNO3D製のグラフィックスカードをお使いの方は、TuneITをうまく活用して、自分好みの設定にカスタマイズしてみてほしい。
本ツールを用いた製品標準設定外の動作に起因する故障は、その状況により無償保証の対応外となる場合がございますので、電源などご使用中のシステム構成や使用温度環境を考慮した上で、自己責任においてご利用ください。