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PROTOTYPE Inc.の「SFプロトタイピング展」で
XR-3を使ったXRコンテンツを体感しよう!

“Sci-fiからバックキャストした実践的プロトタイピングの体験型展覧会”と銘打ったPROTOTYPE Inc.の「SFプロトタイピング展」が、羽田空港近くの天空橋駅に直結する大規模複合施設「HANEDA INNOVATION CITY」のZONE-K104/HANGER-Bで、2022年4月30日まで開催されている。今回は同展示会の概要を紹介するとともに、二輪型MRシミュレータ「GODSPEED XR」の開発経緯や魅力などを紹介する。

SFプロトタイピング展は、PROTOTYPE Inc(以下、プロトタイプ)が運営するデジタルスタジオ兼ギャラリー「HANGER-B」のこけら落としとして開催されたイベントである。専用サイト(https://sfprototyping.peatix.com/)から日時を指定されたチケットを申し込むことで、無料で入場することが可能だ。

会場では、デジタル化された未来のモータースポーツを提案するプロジェクト「FUTURE RACE」やヤマハ発動機(以下、ヤマハ)による世界初公開のライディングシミュレーター「MOTOLATOR」、“人とマシンが共響するパーソナルモビリティ”を目指した概念検証実験EVモデル「MOTOROiD」、美術家・池内啓人によるヘッドセット作品などの多彩なプロダクトを展示。そのなかで、来場者がヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)を装着して実際にコンテンツを体験できるのが「GODSPEED XR」である。

誰でも楽しめる未来のレースを想像した「FUTURE RACE」。イラストレーターのAF_KURO氏のコンセプトアート(左)とともに、それを具現化したドローンやMRゴーグルなど(右)が展示されている

モーターサイクルの開発のために制作されたライディングシミュレーター「MOTOLATOR」。ハンドルやタンク、シートなどを変更することでスクーターからハイエンドのバイクまですべてのモデルのライディングポジションを再現でき、想定すべき多種多様な環境をシミュレーションできる

ヤマハ発動機が2017年の東京モーターショーで披露したEV自動二輪車のコンセプトモデル「MOTOROiD」。“UNLEASHED PROTOTYPE”(常識からの解放)をコンセプトに開発されており、マシンが自らの状態をセンシングして不倒状態を保つヤマハ独自の技術「AMCES(Active Mass CEnter control System)」などを搭載する

ファッションブランド「BALENCIAGA」の2022春コレクションキャンペーンビジュアルを手掛けるなど、世界的な評価を確立している美術家の池内啓人が、サイバーパンクな世界観をもとにさまざまなヘッドセットやメカを融合させた作品

018年前の初号機をXR-3でリビルドして
“リアル”と“デジタル”を融合させる

GODSPEED XRは、プロトタイプが開発するバイクシミュレーター「GODSPEED」シリーズの最新バージョン。現実世界と仮想世界を融合する「XR」に対応した高性能HMD「Varjo XR-3」(以下、XR-3)を使用している点が大きな特徴の1つだ。

そもそも「GODSPEED」シリーズは、2014年12月に開催されたカスタムカー&バイクショー「ヨコハマホットロッドカスタムショー」で初号機が登場。HMDを装着して実際のバイクにまたがって体験する点は共通だが、VR対応のHMDを採用していたことから、バイクの本体やライダーの手足などはCGで作成されたものがVR空間上で表示された。

しかし、今回のGODSPEED XRではXR-3を採用したことで、実際にまたがるバイクの本体や体験者の手足などを、リアルアイムの映像として取り込むことが可能となった。これにより、リアルの映像とVRの映像を融合させた“よりリアル”なバイクレースを体感できるようになっている。

「創業当時から“リアル”と“デジタル”の両方に取り組み、それぞれで多彩なアウトプットを生み出してきた」と語るプロトタイプ 代表取締役の渡辺光章氏。GODSPEED開発のきっかけには、当時注目を集めつつあったゲームエンジンの「Unreal Engine」やHMDを使って「何か新しいことをやりたい」という想いがあったという。そして、その想いを具現化したのが、GODSPEEDの初号機だったというわけだ。しかし渡辺氏は、初号機で採用したVRのHMDでは「解像度が低い」と感じていたことから、8年経った今回のタイミングで「XR-3を使ってもう一度同じものをリビルドしてみたらどうなるか」と考え、GODSPEED XRを開発がスタートした。

渡辺氏と共にGODSPEED XRの開発を手掛けたプロトタイプ テクニカルディレクターの猪口健司氏も、初号機については「VRだったので、本来であればHMDだけで完結することも可能だった。しかし、本物のバイクにまたがって体験して欲しかったことから、実際のバイクを用意した」と振り返る。そのような経緯もあり、“リアル”と“デジタル”の両方に取り組んできたプロトタイプとしては、XR-3であれば「リアル(=実際のバイク)とデジタル(=VRの映像)の融合をより一層実現できる」(猪口氏)と考えてGODSPEED XRの開発に取り組んだそうだ。

アメリカ ユタ州のソルトレイクで開催されるモータースポーツイベント「ボンネビル・スピードウェイ」を疑似体験できる「GODSPEED XR」。XR-3を装着すると、VR空間内ではバイク本体や体験者の手足などはそのまま表示されるが、グリーンバックの部分にはCGの映像(=ソルトレイクの風景)が表示される

GODSPRRD XRを実際に操作している様子と、その際にライダーが見ている映像。 1:37~のように、実際のライディング同様マシンを傾けて旋回する。

02実現はXR-3があったからこそ
さらに製作期間の短縮に貢献した

一方で、XR-3はフィンランドのVarjo Technologies社(以下、Varjo)が開発したHMDで、VR/AR/XRのすべてのに対応するハイエンドモデルである。「115度」の視野角や「1920×1920(マイクロ有機LED:71 PPD)」のディスプレイ解像度といった高い性能を有しており、「世界で唯一、人間の眼の解像度(70PPD以上)に対応した複合現実ヘッドセット」をうたっている点が大きな特徴の1つだ。さらに、LiDARセンサーとRGBカメラを組み合わせた深度認識や200Hzの高頻度で眼球の動きを認識するアイトラッキングなどの優れた機能も兼ね備えており、現実と仮想をハイクオリティで融合させたリアルな没入型環境を構築してくれる。

猪口氏は「この視野角と解像度、さらに鮮明なカラー映像でリアルとVRを合成できるデバイスは、いまのところXR-3しかありません。その意味で、XR-3がなければGODSPEED XRは実現できなかったといえます」と振り返る。さらに、「このXR-3の優れたスペックがGODSPEED XRの開発に大きな影響を与えている」と説明する。

「じつは今回、VRの映像は8年前の初号機で利用したCGをそのまま流用しています。ただ、それが可能だったのはXR-3の解像度が非常に優れていたからに他なりません。本来であれば、事前にある程度は手を加えないと『見栄えが悪いだろう』と考えていたのですが、XR-3では昔のCGでもかなりシャープでリッチに見えました。そのおかげでCGに手を加える必要がなくなり、制作時間をかなり短縮できたわけです。さらに、今回はリアルとVRの映像を違和感なく合成できたことで、バイクの本体や体験者の手足などのCGを制作したり、体験者の実際の動きとそのCGを連動させたりする必要もなくなりました。そういった作業を省けたことも、制作期間短縮の要因の1つになっています」(猪口氏)

バイクのスピードメーターは猪口氏がこだわったポイントの1つ。バイクに搭載されている実際のメーターと連動させるだけの時間がなかったことから表示はスマホで代用しているが、「可能な限りリアルに見えるように努めた」(猪口氏)そうだ

03ヤマハの最上級バイクも魅力的
唯一無二の豪華なイベントだ

なお、実際にGODSPEED XRを体験してみると、その画面の綺麗さや違和感のないリアルタイムの映像合成に驚くとともに、バイクならではの“疾走感”を感じることができた。また、VRでは目が疲れたり気分が悪くなったりする「VR酔い」も気になるところだが、GODSPEED XRではとくに不快に感じることもなく快適に楽しめたのも嬉しいポイント。これも、優れた性能を備えたXR-3のおかげだろう。

さらに、GODSPEED XRは「実際のバイクにまたがって体験できる」という点も大きな魅力の1つなのだが、今回はヤマハ製バイクのハイエンドモデルの1つである「YZF-R1M」を採用している点も、じつは見逃せないポイントである。なぜなら、“バイク好き”にとっては実際に「YZF-R1M」にまたがれるだけでも、かなり貴重な体験だったりするからだ。

もちろん、とくにバイクに興味がない人にとってもメリットは少なからずある。例えば、最上級モデルならではの“質感”や“重量感”を体感できるというのは、リアリティの面において非常に良い経験となるはずだ。実際、体験した人たちの多くが喜んでくれており、十分な手ごたえを感じている渡辺氏と猪口氏。XR-3とYZF-R1Mは実際に触れて体験できるところは少ないことから、「豪華な組み合わせで両方を体験できる唯一無二のイベントになっています」とアピールした。

今後の展開としては、今回の展示品でもあるコックピット作品「TYPE00R」をGODSPEED XRと同様に「リアル感のあるXR体感で楽しめるようにしたい」と夢見る渡辺氏。HANGER-Bには約20mの大スクリーンにプロジェクションを行える環境も整えてあることから、「そこをグリーンバックにすることで、かなり面白い取り組みも実現できるはず」とも語り、新たなプロダクトへの期待感を見せた。

なお、「SFプロトタイピング展」は2022年4月30日までの開催となるが、GODSPEED XRは今後のイベントでも披露される予定。詳細はプロトタイプのホームページなどをチェックして欲しい。

2004年にカプコンとプロトタイプが制作した「鉄騎コックピット」をベースに、池内啓人氏とプロトタイプがコラボレーションしてリビルドした「TYPE00R」。「鉄騎」はカプコンが2002年に発売したシミュレーションゲームで、その専用コントローラーと組み合わせるコックピットの制作が、プロトタイプ設立に大きく関係している

Varjo XR-3

Varjo XR-3は、これまでに構築された中で最も没入型の複合現実体験を提供し、XRヘッドセットの最も広い視野にわたってフォトリアリスティックな視覚的忠実度を備えています。
そして、深さを意識することで、現実の要素と仮想の要素が自然に融合します。製品情報はこちら