高性能プロジェクターとELSA VELUGA G3で
8Kの新たな可能性と未来を切り開く

多彩なAV機器を手掛けるJVCケンウッドは、8Kに対応するコンシューマ向けの最新ホームプロジェクターを発売。その魅力や可能性を後押しするのが、HDMI2.1対応の高性能GPUを採用するモバイルワークステーション「ELSA VELUGA G3」だ。

日本ビクターとケンウッドの経営統合により、2008年に設立されたJVCケンウッド。「感動と安心を世界の人々へ」を企業ビジョンに掲げ、それを実現するための製品やサービス、ソリューションの提供を目指している。

主な事業分野は、カーナビやドライブレコーダーなどを取り扱う「モビリティ&テレマティクスサービス」、業務用の無線システムや医用の画像表示モニターなどを提供する「パブリックサービス」、オーディオ機器やヘッドホン/イヤホンから音楽・映像コンテンツまでを展開する「メディアサービス」の3つ。この中のメディアサービス分野には“プロジェクター”も含まれており、2021年11月には8Kの高画質を体感できるビクターブランドのD-ILAホームプロジェクターの新製品「DLA-V90R」「DLA-V80R」「DLA-V70R」が発売された。

「3つのモデルは、独自開発の高精細反射型液晶パネル『D-ILAデバイス』を搭載した8K対応プロジェクターの最新モデルです。価格はハイエンドのDLA-V90Rが288万2千円、ミドルのDLA-V80Rが170万5千円、エントリーのDLA-V70Rが130万5千円。音質にもこだわった専用のAVルームで利用するようなホームシアター向けの超高性能モデルとなりますが、非常に多くの注目を集めており、現時点では供給が追いつかないほど好調な滑り出しとなっています」(JVCケンウッド メディア事業部 国内営業部の配野泰行氏)

014方向の「e-shift」による8K表示
8K60p/4K120pの入力にも対応

この3つの最新プロジェクターの大きな特徴となるのが、「e-shift」技術による8K表示である。e-shiftは、画素を0.5画素シフトすることで解像度を倍増化する高解像度表示技術。このe-shiftとネイティブ4Kに対応するD-ILA デバイス(0.69型/4,096×2,160)を組み合わせることで、8K(8,192×4,320)を表示することが可能となる。なお、下位のDLA-V70Rはシフト方向が斜め2方向の「8K/e-shift」、上位のDLA-V90RとDLA-V80Rは上下左右4方向の「8K/e-shiftX」を搭載しており、8K/e-shiftXの方が「よりネイティブ8Kに迫る高解像度を実現し、立体感・没入感をさらに高めている」(配野氏)。

これに加えて、全モデルでHDMI2.1のインターフェースを装備し、ホームシアター向けのプロジェクターとしては世界初となる「8K60p/4K120p信号の入力」に対応した点も大きな特徴の1つとなる。4K120p入力の際には「低遅延モード」と組み合わせることで、フレームレートの高いゲームコンテンツなども大画面で滑らかに表示可能だ。

そのほか、DLA-V90Rはフルアルミ鏡筒を採用した16群18枚の「オールガラスレンズ」を搭載し、シフト時の色収差や色にじみを低減して8K解像度を忠実に再現。さらに、新光学エンジン「Ultra-High Contrast Optics」によって3,000lmという高輝度や10万:1 という高いネイティブコントラストを実現する(なお、DLA-V80Rは2,500lm/8万:1、DLA-V70Rは2,200lm/4万:1)。また、レーザー光源と独自のシネマフィルターによるDCI-P3相当の広色域やHDRの新規格「HDR10+方式」もサポートするなど、非常に高性能かつ魅力的な製品に仕上がっている。

一方で、この魅力を実機のデモでユーザーに伝えるにあたり、思いがけないポイントとなったのが、8K入力に不可欠な「HDMI2.1」である。なぜなら、製品を発売するタイミングではHDMI2.1に対応した映像再生機器が極端に少なく、デモを実施するにあたって「どの機材を利用すべきか」で迷ってしまったからである。

例えば、プロ向けの映像専門機器であればいくつか存在したが、それらの機器は非常に高額で「プロジェクターの価格を考慮すると、システム全体のコストバランスが悪い」(配野氏)ことから不採用。そのため、最終的に数十万円台で導入可能な「HDMI2.1に対応するNVIDIAの最新GPUを搭載したPC」が選択肢として残った。

これに加えて、営業で持ち歩くことや準備の手軽さなどを考慮して「ノートPC」に限定し、さまざまな製品を検討。その結果、プロ向けの高性能GPU「NVIDIA RTX A5000 Laptop」を搭載するエルザの15.6型モバイルワークステーション「ELSA VELUGA G3」を、最新プロジェクターのデモ用として導入した。

02優れた性能で8K出力も安定動作
将来的にはVR的な没入型体験も

導入にあたっては、RTX A5000に加えてCore i9のCPUや64GBのメモリ、2TBのSSDなどを搭載したハイエンド仕様のELSA VELUGA G3を選択した。全体的に優れたパフォーマンスを備えており、DLA-V90Rを使った実際の8K出力でも「非常に安定して動作しており、まったく問題ない」(配野氏)とその使い勝手は高評価だ。さらに、持ち運びの利便性を優先し、画面サイズが17.3型ではなくひと回り小さい15.6型のモデルを選択したが、他社のGPU搭載ノートPCと比較して「全体のサイズ感もスマートでいい」と評価する。

また、複数のプロジェクターを接続したマルチ出力も「可能だった」とのこと。種類の異なる端子での出力となるため仕様として映像の同期は取れないが、「同期の問題を除けば、マルチ出力もとくに問題はないと感じており、違った活用法もありそう」(配野氏)とのことだった。

今回の新モデルはコンシューマ向けの製品となるが、今後はDLA-V90Rでビジネス分野でのニーズも探りつつ、その結果を踏まえた業務用モデルの開発なども進めていくとのこと。例えば、高品質な8K映像やノートPCと組み合わせた可搬性の高さなどから、展示会などのイベントや博物館、美術館などでの活用を提案していく考えだ。高画質の8Kであれば細かい情報もしっかり描写できているため「従来とは異なる効果的に体験」も可能になり、8K対応のプロジェクターがそこで大きな役割を果たすことになる。

また、複数のプロジェクターを使用し、球体あるいは湾曲したスクリーンに映像を投影することで、ヘッドマウントディスプレイ不要の「VRのような没入型体験」を実現するような取り組みも検討中。8Kの高画質をさらに訴求するとともに、「高画質な映像システムをこれまで以上にリーズナブルな価格で提案していくことで、プロジェクターを利用する側の導入も後押ししていく」(配野氏)。

D-ILAホームプロジェクター「DLA-V90R」

8K60p/4K120p入力対応、新開発「8K/e-shiftX」搭載。独自のレーザー光源技術「BLU-Escent」と大口径100mmオールガラスレンズにより、これまでにない8K高画質を実現したD-ILAプロジェクターフラッグシップモデル。製品情報はこちら

ELSA VELUGA A5000 G3-15

プロフェッショナルのために造られた「NVIDIA RTX A5000 Laptop」と
第11世代インテル Core i9プロセッサーを搭載した15.6インチ
モバイルワークステーション
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