Python環境を手軽に構築できる「Anaconda」
コストに見合った効率化やメリットをもたらす

統計解析やAIの機械学習、深層学習などでよく利用される「Anaconda」。その分野ではメジャーな製品の1つとして知られているが、改めてAnacondaとは何なのか。その概要や特徴を紹介するとともに、そのメリットや利用環境などについても触れていく。

Anacondaは、米Anaconda社が提供するPython/R言語用のディストリビューションである。PythonやR言語は、データサイエンスや機械学習などでよく利用されるプログラム言語となるが、Anacondaはそれらの言語に加えて、機械学習や深層学習などのライブラリまでを提供する点が特徴だ。これにより、利用するライブラリを個別にインストールする手間を省けるなど、必要とする作業環境を即座に構築できる点が大きなメリットとなる。

Anacondaについてもう少し詳しく解説すると、そもそものベースとして、パッケージ管理システムと環境マネジメントシステムを担う「Conda」がある。そのCondaとともにPythonと基本パッケージを内包するディストリビューションとして「Miniconda」があり、そのMinicondaに加えてR言語や追加パッケージ、GUIベースのユーザーインターフェイスを内包するのがAnacondaとなる。


Anacondaの構成イメージ

ちなみに、CondaやMiniconda(Pythonも含む)はオープンソースで、Anacondaもオープンソースベースとなる。ただし、Anacondaは2020年4月以降から、特定の条件に該当する企業が利用する場合は「有償」となったので注意が必要だ。具体的には「従業員数が200名以上の企業が利用する場合(業務以外での利用も含む)が有償化の対象となる」と、企業向けの有償版Anacondaを提供するアスク法人事業本部の高橋一道氏は説明する。ただし、「教育機関や研究機関」「非営利団体」「ボランティア」はその対象外となるそうだ。

なお、アスクではAnacondaの製品ラインナップとして「Commercial Edition」と「Team Edition」の2つを用意する。Commercial Editionは商用向けに最適化された標準構成で、Anaconda社がクラウド上でライブラリ群を管理するクラウドベースのパッケージリポジトリを提供。Team Editionはオンプレミスやエアギャップ環境向けとなっており、ライブラリー群を社内にミラーリングするほか、チーム向けにユーザー機能やセキュリティ機能が追加される。そのほか、アスクでは取り扱っていないが、Anaconda社から直接購入する「Enterprise Edition」も存在する。

01圧倒的な生産性を追求する 3つの特徴でメリットを提供

次に、有償版のAnacondaについて説明しよう。高橋氏によれば、圧倒的な生産性を追求するための「3つの大きな特徴がある」そうだ。

1つ目の特徴は「常時メンテナンスされたパッケージリポジトリ」である。有償版では、Anaconda社の専任チームによるパッケージ維持管理が行われており、アップグレードされる各パッケージの最新情報をチェックするとともにメンテナンスなどにも対応。さらに、パッケージ間で互いの機能を使い合う際の動作検証や依存性の解決なども実施している。

2つ目は「Anaconda仮想環境」。仮想環境を提供することで、プロジェクトに必要なパッケージの状態維持などに対応するほか、Pythonインタプリンタ等も対象となる。これにより、プロジェクト間の影響に関する労力を排除してくれる。

3つ目は「高速なバイナリパッケージ」で、こちらもAnaconda社の専任チームが担当。専任チームにより、例えば行列計算やAnaconda Pythonの高速化を実現する。Anaconda Pythonは「本家よりも高速化されている」ほど力を入れており、これらの3つの特徴によって「無償版では得られないメリットを提供している」(高橋氏)。

ちなみに、Anaconda以外のソリューションを利用し、無料でAnacondaと似たようなシステムを構築することは「もちろん可能だ」と高橋氏は補足する。しかし、その無料システムを「本当に安心して利用できるか」と疑問を投げかけるとともに、動作検証や維持管理に要するコストや時間を考慮すれば「Anacondaを利用した方が効率的で、コスト的にもメリットがある」と提案した。

02AI関連のライブラリの中には GPUが処理に影響するものも

一方で、こういったAnacondaのメリットを享受する意味では、Anacondaをインストールしてさまざまな処理を実行するマシンの性能も重要なポイントとなる。なぜなら、高性能なマシンの方がさまざまな処理をより高速に実行できるのはもちろんだが、データサイエンスや機械学習などの計算処理を速やかに実行するためには、ベースとして意外とハイレベルな性能を求められることがあるからだ。

また、計算処理のスピードは一般的にCPUの性能に左右される印象が強いが、例えばAI関連のライブラリの中には「GPUを用いた方が、CPUよりも大幅に処理スピードを高速化できる」というGPU特化型のライブラリも多く存在する。そのため、CPUだけでなくGPUも(あるいはメモリやストレージも含めて)高性能なパーツを搭載したマシンの方が、幅広い作業をより効率的に進めることが可能となる。
そのような背景から、アスクではラック型のサーバーから大型のワークステーションやモバイル可能なノートPCまで、Anacondaの利用に適した高性能なマシンを幅広くラインナップ。さらに、利用環境などに応じたカスタマイズにも対応する。

また2022年6月30日(木)までの期間限定で、エルザジャパンのモバイルワークステーション「VELUGA」シリーズに「Anaconda Individual Edition」をプリインストールしたモデルをキャンペーン特別価格で購入できるAnacondaキャンペーン「2022年春」を開催中。必要最低限の作業をするだけでAnacondaをすぐに利用できる環境とともに、Anacondaの有償ライセンスをお得に購入できる魅力的なキャンペーンとなっている。詳しくはこちらをチェックして欲しい。

ビッグデータやAIのさらなる活用が期待される昨今だが、データ解析やAI開発などは「まだ始まったばかり」と感じている高橋氏。ルール作りなども含めて対応すべきことはまだまだ多いが、今後の成長が見込まれる分野であることは間違いないだけに、データサイエンスや機械学習などで利用されるAnacondaの成長も「大いに期待できる」と予測する。

一方で、有償化を理由にAnacondaの利用を控えている企業があることにも着目し、社員に対して「無駄な作業を強いていないか」と指摘。無駄を省いて作業効率を上げるとともに、データサイエンティストや研究者が本来の仕事に従事できる環境を作り出せる意味では、コスト面を踏まえてもAnacondaは「その選択肢に十分なり得る」とアピールした。

Anaconda プリインストールモデル
ELSA VELUGA G3シリーズ

ELSA VELUGA G3 Anacondaプリインストールモデルは、Anaconda Individual Editionがプリインストールされており、最低限必要となる作業のみで、Anacondaをご利用いただけるようになります。 製品情報はこちら